この国は、腐敗していた。

今の王がの父が税を使い果たし、

民から税をどんどん搾り取っていた。

そんな国だから、革命が起きたのも必然だった。

 

* * *

「殿下、お逃げ下さい!」

若いへし使いがそう言ってぼくを外へ逃がそうとした。

「もう時間がありません。ここにはもうすぐ、革命派たちが来るでしょう。」

 

「いやだ!ぼくは、父上と一緒に残る。」

ぼくはそういって駄々をこねた。

小さな声で、もう来たのかといい、

「いいか、お前は逃げるんだ。ここに居たらころされてしまう。」

父はそういった。父はぼくには優しかった。

 

「でも父上は!」

 

「我は大丈夫だ。」

父はそういって安心させようとした。

 

「母上もいないのに、父上まで居なくなったら嫌だ!」

そう叫んだけど聞き入られず、若い召使に抱かれて外に連れ出された。

 

 

「殿下、陛下はご無事です。なので、先に逃げましょう。」

と召使は言った。

「なぜ、言い切れるのだ」

と、泣きながら問うと

「陛下はお強いです。」

と言い切った。

 

ぼくはその声に安心し、

「分かった。」

といった。

 

 

けれども、そのとき後ろから、どん!っと地響きと共に轟音が鳴り響いた。

「そんな・・・・!」

と召使が青ざめた。

そこには、

 

真っ赤な炎に包まれた王城があった。

 

呆然としたぼくの耳に召使の泣く声が残った。

 

* * *

この事件の後、この国のトップは誰にするかで血の雨が降るような争いが起きた。

そして、王が居たころ以上に民は疲れた顔をしていった。

伝染病などがはやり、次々と人が死んでいった。

 

この革命で残ったものは、疲れた顔をした少数の民と一面の荒廃だけだった。

novel 

 

                                                                 Copyright  (C)2010-  空に翼を広げて All Rights Reserved

inserted by FC2 system